Wednesday, August 30, 2006
布の声をきく Listen to the Fabrics
先週、福島県博物館で開かれている「布の声を聞く」と題された展覧会に行ってきました。昔、といっても戦前から戦後すぐのあたりまで、東北の農村漁村の人たちが仕事着として着ていた着物の展覧会です。明治以後、学校で裁縫がどういうふうに教えられていたか、学校に残っていたさまざまな着物の雛形も展示されていて、興味深く見てきました。
「おしん」をみれば東北の貧しい農家の人たちがどのような暮らしをしていたかは、ドラマですけれども、想像がつきます。自分たちの手で、綿から紡がれた糸が織られて布になり、衣服に仕立てられ、刺して補強され、擦れて破れればつぎをあてながら着続けられていったのが、よくわかります。実際に着られていたときには汗と垢と汚れで、色もわからないほどであったかもしれないのに、(私が育った北の海辺の小さな町も貧しかったので、想像がつくのです。)こうしてきれいに保存され展示されているとその色合いは芸術的にさえ見えます。トープキルトに似ていると思いました。
刺し子や津軽のこぎんも元々は野良着の補強に刺されたものです。どうせなら少しでも美しく、という思いを込めて刺された模様は複雑で、目を見張りますが、実際に昔こぎんを刺した女性たちは、ほとんど運針と同じ速さで縫っていったといいます。
いつまで見ていても飽きない展覧会でしたが、ほとんど道楽で布をはぎ、刺繍している私は、ちょっと罪悪感を覚えたのも本当です。
Last Friday I went to the exhibition titled "Listen to the Fabrics". Many working kimonos worn by farmers and fishermen in Tohoku before the war were shown. It was very interesting exhibition. Tohoku (north part of Japan) was a very poor area. If you have ever watched TV drama "Oshin", you can imagine how their lives were. Mireille, one of my CQ friends in Belgium, who is in her early thirty's like Jo, told me she had watched "Oshin" when she was a elementary school girl. Working people had to wear their clothes, patched and patched to be worn out, though after cleaning they look to be even artistic today. I remembered taupe quilts, which are very popular now.
I felt a bit ashamed, for my CQs must be just for pleasure, not for necessity like those old fabric arts.
Saturday, August 26, 2006
与勇輝の人形たち Yuhki Atae's Dolls
アヤコさんがコメントで、与勇輝さんの人形展に触れていました。
「・・・先日近くのデパートで開催されていた『与勇輝・人形芸術の世界展』を見に行ってきました。そこで使われていた赤に(襷だったり着物の裏地だったり、鼻緒だったり…)、「日本の赤」はこれだと確信しました。漆器の赤、夕焼けの赤、熟した柿の実の赤、七五三の着物の赤、郷愁を感じさせる落ち着いたあの赤色(というか朱色)でした。・・・」
私が与さんの人形を知ったのはいつだったでしょう。母がいつも読んでいた「婦人の友」に載っていたピーターパンの写真に、二人で見入ったことを憶えています。飯沢匡さんが「布の彫刻家」という言葉を使っていました。このときに「布の彫刻家」という与さんの呼び名は決まったのでしょうか。それとももっと前から呼びならわされていたのでしょうか。その数年後、仙台でも展覧会があり、母と一緒に一度、それぞれにもう一度一人で、観にゆきました。たまたま会場にご本人がいらしてサインを頂けるというので、喜んで列の後ろに並びました。そのときの図録ですが、1995年だったのですね。
たしかに日本の赤は、桃色系統より、朱色だという気がします。クレージーキルトには普通、パターンはないのですが、扇だけはモチーフだけでなくパターンとしてよく使われます。何年か前、小学校からの友人から彼女のお姉さんが若いときに着ていた着物のほどきをわけて貰い、扇のキルトを作りました。ここでは赤はオレンジ系だけではありませんが、色も布もパターンも純和風に仕上がっています。ステッチは生成りの絹の穴糸を使いました。
Ayako wrote in her comment for "Roses & Ribbons", she had visited an exhibition of Yuhki Atae's dolls. She was very impressed by the red he had used effectively and assured Japanese red is not rosy red but orange red.
It was very long ago when I saw a picture of his doll for the first time, which was "Peter Pan", on the page of magazine my mother had subscribed since her youth. A famous play writer was naming him "A fabric sculptor", then. A few years later, his exhibition was held in Sendai and we went to see his dolls in person together. It was so nice and impressive, we each visited again. When I revisited, Mr Atae happened to be there and giving an autograph session. Of course I lined to have his signature on my illusrated book. It shows it was 1995.
I agree with Ayako. Japanese red is orange red. When we see these red spiced in dark or plain colors just like Mr Atae's dolls' kimonos, we feel cheered and comfortable.
My fan crazyquilt is worked in really Japanese style. The colors, fan pattern, kimono fabrics, silk threads are all Japanese.
http://www.musekan.net/work.asp
Tuesday, August 22, 2006
あしたのジョー Jo for Tomorrow
私がひそかに”あしたのジョー”と名づけている Jo は、一番下がやっと二歳になったばかりの三人の小さな子供がいるニュージーランドの若いママです。昼は子供たちとずっと一緒、寝かせてからの夜が自分の時間というのですが、その僅かな一人の時間に、精力的に彼女の作るクレージーキルトは、若々しく奔放で独創的で、それでいて刺繍も縫い方も実にきれいで、天成の才能が感じられます。ブログからはクレージーキルトが好きでたまらない様子が伝わってきます。
写真は彼女が私に作ってくれたハートです。見たとき、私は自分では行ったことがないのに、何故か沖縄の海を連想しました。白砂に松が並び、真っ青な海に波頭がレースのように砕け、海底に珊瑚礁が透けて見える風景に思えました。つないだビーズを重ねながら布の上に這わせるこの方法は、ジョーが自分で考えたのでしょう。別のブロックで初めて見たとき、私はとても美しいと思い、コメントを書きました。それを憶えていてくれて、わざわざ刺繍してくれたのです。実際に見て、改めてまた美しいと思い、自分でもしてみたくなり、真似しました。真似ついでに、やはりジョーのブログで見て素敵だったペーズリーのモチーフも刺繍しました。
This is a heart from Jo in New Zealand. I have given her a nickname "Jo for Tomorrow" secretly. Oversea ladies might wonder what's the meaning of this nickname. When I was young, around 20 years old, I was a maniac comics fan and "Jo for Tomorrow" was one of the most popular comics then. Jo was a young boxer who always stands up and fights for tomorrow. This serial comic was run on a weekly magazine for three years. Still now Jo is a legendary hero in Japan. Of course Jo in NZ is a young heroine in CQ.
Her heart reminded me a sand beach of Okinawa. (I haven't been to Okinawa. So I have to ask Debbie if my imagination is right.) A pine tree on the beach, blue sea, coral reefs.
Jo remembered I had loved her beads trails on her Path Finder block and made it on this heart for me. Seeing it in person, I felt like trying it myself. An inspiration of paisley motif also came from her.
Sunday, August 20, 2006
まとめの色 Third Color
ペアのハートクッションカバーは昨年のバッグチャレンジのときに私が、フロリダのスー・デュフィさんのバッグから作ったものです。布を見たとき、どういう配色にするかとても迷いました。入っていたリボンやビーズなどの装飾用の材料の色のこともあり、結局写真のように仕上げました。配色は、昨日の韓国のお人形の衣装によく似ています。
ターコイズとローズピンクの組み合わせは日本にもありますが、そこに原色に近い黄色やオレンジ、黄緑を加えるというのが日本にはないところです。落ち着かない気持ちで送り返したのですが、スーはとても喜んでくれました。材料が本人の好みで選んでありますから、一生懸命作ってさえあれば、大体は気に入った作品になるということなのでしょう。
今年、似た配色でキルトを作りました。その中のブロック2枚です。銘仙の和布と帯地を使ってあります。配色のパターンは、ある意味で万国共通なことがわかります。しかし、それぞれの布を見ると、全体をまとめる地色に使われているのはグレーと紺です。私もシームのステッチにはグレーと紺、グレーがかった地味なピンクと黄色を使いました。ビーズもほとんど、無彩色のグラス、メタル、パールのみです。写真でのちょっと見だと、クッションと大差なく見えるかもしれませんが、この辺に東西の違いがあります。
ところでそれぞれのブロックのクローズアップですが、どちらも自分で作ったものですが、私は、最初の方の、夜桜という感じが好きです。ところがフリッカーのアルバムで、海外の人が開いてくれるのは圧倒的に二番目で、夜桜にはあまり見向いてくれません。
When we had a baggie challenge as the first, I made a pair of heart cushion covers for Sue Duffy in Florida. You can see I added yellow, orange and light green to the basic color combination of turquoise & rose pink. I chose them from her baggie. Don't you think whole combination is very similar to the wears of Korean dolls clothes?
In May I made a CQ, using Japanese fabrics. The basic color combination is also turquoise and rose. But the third color which unites the whole is gray/navy blue here. Then I used gray, navy, grayish pink and grayish yellow threads for seams,and added only monotone glass, metalic and pearl beads.
Here are two close ups of the blocks. Which do you prefer? I myself do the first one. But the second one has been hitted much more times in flickr albumn.
I am thinking the national color preference/color sense might be related to the nature or scenic condition in its own country.
Saturday, August 19, 2006
薔薇とリボン Roses and Ribbons block
ラウンドロビンをいくつか経験して、日本人と海外の人では微妙に色彩感覚が違うと感じたことにちょっと触れたら、もっと聞きたいというコメントが複数あったので、それについて自分でも考えてみることにしました。一回ではすまないと思いますが。
デビーさんがブログで、3年前 CQ Newsletter が主催したコンテストのために作った、”薔薇とリボン”のブロックの装飾について、書いていました。美しいブロックでさすが、と感心して読んで(見て?)いたのですが、実は私もこれに挑戦していました。刺繍用の糸とリボン、ビーズ、モール糸、薔薇のモチーフなど、用意された装飾用セットを購入し、布は自分のものを使い、”薔薇とリボン”のテーマでブロックを作るというものでした。海外の材料を使った初めての経験でしたが、そのセットが届いたときの、ショックに近かった気持ちは今も憶えています。あまりにも派手な色合いで、自分に扱えるだろうかという戸惑いでした。深紅ではなく薄い方の薔薇色ですが、糸、リボン、ビーズ、モールと、メーンカラーが、自分では到底選ばない色だったからです。(この自分では到底選ばない色というのを、アメリカの人たちは普通に使うのです。デビーさんのように、真似はできないけれど美しいと思える人は沢山いますが。)布に薄い色を使い、できるだけ色を抑える形で仕上げたのが写真です。浮き上がらせたくない、というのが基本姿勢だったと思います。自分で思うよりは評価されて(あるいは日本人が珍しかったせいか)、次号で他の何点かと一緒に優秀作品として紹介されました。
色のことを考えると、私には配色や色合い、色の量のバランスが嫌いということはあっても、単独で嫌いな色は特別ないように思います。この薔薇色ピンクもメーンでなくアクセントカラーとしてなら、自分でも使うかもしれません。
小さなお人形は韓国の人からのおみやげです。マグネットで冷蔵庫に止めていますが可愛らしくて好きです。しかし、実際にこの配色の衣装を着ることを、日本人は想像もつきませんが、韓国の人は着るのでしょう。布の写真は、私の持っている銘仙の和布です。「薔薇とリボン」ブロックの配色に似ています。日本人も同じような配色を選ぶこともあるわけです。ただクローズアップで、私自身気づいたのはグレーです。縞の中にも、花の芯にもグレーが使われています。グレーで少し中間色に近づけ、派手さを抑えるのが日本人の感覚かもしれない、と思いました。
昨年末、ニードルブックにしようと思って、臙脂や深紅を使ったブロックを作りました。昔に比べたら私自身、ずいぶん派手な色も使うようになったと思いますが、今見るとやはり、意識的にか無意識的にか糸にもビーズにもシルバーがたくさん使ってあります。そして少なくとも同系色でまとまっています。韓国の衣装のように黄色を足すなどは、日本人には想像外のことでしょう。
Debbie was writing about her "Roses and Ribbons" block for the CQ Newsletter contest. Her colors are so beautiful and natural. To tell the truth, I had made my own block for the same contest. It was the first experience for me; not only contest but using oversea embellishments as well. When I received and opened the package, I was shocked because the main color of pink seemed to be too vivid and bright for me to handle. I made that pink toned down on the light colored fabrics. I felt it very hard to work but my completed block was not so bad.
I don't think there are certain colors I dislike. There are only color combinations I dislike or I feel uncomfortable with. And when I use the word of combination, that include the balance of quantity of each color, too. As an accent color, I would use any.
Here are small magnet dolls I was given from a Korean as a souvenior. They are very cute and I like to use them on my refrigirater. But I can't imagine to wear in such colors combination myself or use it for even for my CQ block, though Korian people would do. This is the difference between our two nations. Chinese people would use such combination sometimes.
I'll show you the photos of Japanese kimono fabric I have. This is "Meisen" silk, not for formal but casual kimono. The color choice looks very similar to the "Roses and Ribbons" block. But if you look at the close up carefully, you will find gray is used much to soften the vividness. I think this gray might be one of the Japanese colors' key. But this is only my guess.
I made a dark red block last year. I had become to pick up showy color more than before, but still I find myself having used silver threads and beads much on this block. I don't know it was consciously or unconsciously.
Friday, August 18, 2006
ホワィト・ガーデン White Garden
"Chains of Hearts"のグループに参加を決めたのは、フリッカーのアルバムを眺めていたときに、ホワィト・ガーデンと名づけられたそのハートがどうしても欲しくなったからです。挨拶のメールに、あのハートに心を引かれたことを書いたら、ローズマリーさんがすぐに、貴女のができるまで取っておきますよ、と返事をくれました。それを始まりに今では手元に16枚もハートがたまりました。例外はありますが、自分で希望するときには大体ブルーを中心に選んでいます。涼しげな夏の風景のハートをご覧下さい。”ホワィト・ガーデン”の次がオーストラリアのジュリアさん、次はアメリカのメーアさん、最後のコットンのハートはノルウェーのアティさんです。
枝美子さんがブログを始めました。毎日楽しみに読ませていただいています。二人でちょっと、ラウンドロビンのときに感じた色の感覚の違いのことを話しました。これはまた日を改めて書きたいと思います。
The main reason I joined to the "Chains of Hearts" and started to make hearts was I adored Rosemary's "White Garden" heart and would like to have it. I found it in the Flickr's albumn. She was so kind to keep it for me until I got ready. It was the first heart swap for me. Now I have sixteen hearts. I have chosen blue ones mostly except a few. Here are beautiful hearts from Rosemary (Australia), Julia (Australia), Maire(US) and Ati (Norway). You may feel a cool fresh air in this hot and humid summer.
Emiko has started her blog (in Japanese). I am enjoying it much. We have talked about some difference of color sense between us Japanese and oversea poeple from our experience of RRs. I will write about that topic later.
Tuesday, August 15, 2006
愛読書ラウンドロビン Favorite Book RR
ふとしたきっかけで、好きな本をテーマにしたラウンドロビンをしたいわね、みたいな話が持ちあがったら、三日間で十人も集まってしまい、あっというまにグループができ、あれよあれよとこのラウンドロビンは始まりました。このフットワークの軽さが、海外の人たちの良い点です。走りながら考えたっていいじゃない、問題が起きたらその都度対処しましょう、という姿勢は、そのままクレージーキルトに通じるような気がします。とりあえず好きな布を適当に接ぎ、とりあえずこのシームにこの糸でこのステッチをして、と先を考え過ぎずに仕事を進めていく内に、それが呼び水になって、次にしたいことが見えてきます。
私たちのグループは五人です。まだ進行中で私はやっと三人のブロックを終えたところです。ジャッキーYはヒティ(木のお人形)が旅行しながら出会う冒険を、という希望でしたから、ブロックが届いた五月五日の子供と日と、ハロー・キティにハロー・ヒティをかけて刺繍しました。ジャッキーSが選んだ「ライヤ」という本は科学ファンタジー仕立てのラブロマンスで、実は100ページほどでギヴアップしました。ヒロインの名前ライラックと、クロネコと人間の二つの姿をもつ主人公ライヤの片方ずつブルーと緑という瞳をハートに入れ、ヴィーナスのボタンを飾りました。リンの選んだ、オースティンを思わせる歴史小説「グランド・ソフィ」のブロックには、舞踏会の扇子をリボン刺繍で飾ってから靴をチャームを止め、へぼ詩人のために羽ペンとインク壷を刺繍しました。"Beautiful" のチャームは恋人を讃えるのにこれしか使えないボキャブラリーの貧困さの象徴のつもり。
ジャッキーYがこのラウンドロビンの進行を報告するための楽しいブログを作りました。英語を読むのはちょっとかもしれませんが、海外の人はごく気軽にこんなこともしてしまうという証にのぞいて見てください。
リン・シェフラーはブログもホームページも持っていませんが、CQMagOnline に毎号取材記事、バッグやクッションなどの作品とそのインストラクションなど、二つか三つの記事を書いています。刺繍、とくにブラジリアン刺繍の名手です。CQI のグループのホームページの写真を選んでいるのも彼女です。私は個人的にもいつも彼女から暖かい励ましと支えを得てきました。
ブラジリアン刺繍、海外では熱心な愛好者がたくさんいるのですが、日本では知られていません。スタンプワークのような立体的な刺繍で、糸も針も専用のものを使います。私はリンから糸と初心者用解説、針も別の方から送ってもらい、準備は万端なのですが、いまだに不肖の弟子です。
I have finished Lynn's block of "Favorite Book RR" of CQI. This is the third block for me from this Group. I did Jackie Y's "Hitty" first. Hitty's adventure in Japan was seeing a kitten idol Kitty and the "Children's Festival" on May 5th. She saw carp flags floating in the sky and took a special bath iris leaves bunch was put in. Jackie S's "Reijar" was a science fantasy love-romance. I stitched heroine's name Lilac and Reijar's each blue and green eyes in double hearts. I also put a Venus button from the set made by "Lilac Inc" just like a joke. I had happened to buy it very long ago.
Lynn's book was "The Grand Sophy" by Georgette Heyer. It's a regency romance like Jane Austen's "Pride and Prejudice". For her block I embellished the fan with SRE. I stitched a quill and ink bottle for a poor talented poet, Mr Fawnhope. A charm of "Beautiful" means his vocaburary is so limited he can't find any other word but this to admire Cecilia. (This is only my joke.)
Lynn is an excellent Brazilian embroiderer. You would have read many articles of hers in CQMgOnline in every issue. She has been always so kind and supportive to me, I wanted to do my best for her block. But I know my stitching skills were not sufficient enough. She might be ready to teach me Brazilian enbroidery.
Saturday, August 12, 2006
バッグ・チャレンジの友人 Baggie-friend
昨日のテーブルランナーは今年私がサンディ・リギンスのために作ったものですが、彼女は偶然にも、昨年のチャレンジで、私のバッグから素晴らしい壁掛けを作ってくれた、当の相手でした。昨年、壁掛けの完成写真がグループアルバムに公開されたとき、私はそれがすぐに自分のそろえた材料で作られたものであることがわかりました。サンディが「我ながらとても美しくできたので、別れがたい」と言いつつ、泣く泣く、私の手元に送り返してくれた作品は、ご覧のようにシームもモチーフも素晴らしく、ちょっと左上に配したプリントの肖像の周りに施されたリボン刺繍の美しいこと、私も心から感謝感激でした。今回、私が昨年の彼女の労へのお返しと思って力を注いで作ったランナーに、彼女も満足してくれたようで、お互い急速に親近感を増しました。
ところで私が自分でプリントした目を伏せた横顔の肖像写真は、フローラ・トンプソンという女性のもので、私が今二冊目として翻訳している本の著者です。自分が生まれ育った19世紀末のイギリスの小さな村の人々の生活の様子が、具体的にかつ詩的に、文学的な筆致で描かれている本です。出版の具体的な予定はまだ決まっていないのですが、この美しいクレージーキルトが表紙に使われたらどんなにいいだろうと思っています。
I made a tablerunner for Sandy this time. But she happened to be my partner lady last time. She made a really beautiful wall hanging from my baggie then. She expressed how she missed it when she had to mailed off. Therefore my tablerunner was a return to her. We are now very good baggie-friends.
By the way a portrait print I made myself for the wall-hanging is of Flora Thompson, the author of "Larkrise to Candleford" I am translating now. I wish this CQ would be used as a cover when the book is published.
Friday, August 11, 2006
ウィラのバッグ・チャレンジ It's My Bag Challenge
枝美子さんのページに、他の人と材料を交換して作品を作り合うチャレンジについて書いてあります。私もチャンスがあったらやってみたいと思っていたのですが、ウィラ・フラーという人のコーディネートで同じようなチャレンジが企画されました。バッグの行き先も、誰が何を作っているかも、完成写真がグループアルバムに公開されるまでわからないサプライズです。昨年の夏、今年の春と、二度参加しました。参加者募集のアナウンスがあり、材料一式(バッグ)を期日までにコーディネーターに送り、それが全員に振り分けられ、受け取ってから約二ヶ月間の製作期間が与えられています。〆切を守らない人がいますから、何だかんだと全てが終了するには半年近くかかります。今年の例ですと、二月末がバッグ〆切、三月末までに配布、五月末が作品の〆切という流れでしたが、今回私のバッグを受け取った相方は、まだ製作中です。
写真は、私が、今年カリフォルニアのサンディ・リギンスという人のために作った作品です。テーブルランナーをという希望がありましたので、作るものを思案しなくてすみましたが、ランナーなので真ん中にはリボンやビーズは使わないようにしようとか、材料を全体にバランスよく配置するのに、あらかじめリボンを半分に切っておくとか、それなりに神経は使ってあります。自分の手持ちを足すことは許されていますが、できれば相手の用意した材料を最大限生かしたいので、送られてきたものをほとんど残さずに使い切りました。ちなみに残った場合は送り返すことになっています。
春でしたので、made in Japan の証明のためにも、ブラウニングの「時は春、日は朝、朝は七時」の一節を刺繍したのですが、ご覧になれるでしょうか。
I joined Willa Fuller's "It's My Bag" challenge twice, last summer and this spring. It's a big and long challenge, for we must finish a project out of our partner's perfect baggie including all kind of materials. Usually we are given two months for working. We are allowed to use our own materials if necessary, but expected to use materials of the bag. The leftovers should be send back to the owner. I made a table runner for Sandy Riggins. I started it in end of March and finished mid May. It was spring time. I stitched Robert Browning's first three lines in Japanese to prove it was "made in Japan".
Wednesday, August 09, 2006
銀河鉄道の夜 Milky Way Railroad
CQMagOnlineというのは、オンラインの雑誌です。一年前まではもうひとつThe CQ Newsletter というCD で届く素敵な雑誌もあったのですが、残念なことに廃刊になりましたので、これが唯一の定期刊行のクレージーキルトの雑誌です。クリックすると再度ホームページに行くようにと指示が出るかもしれませんが、そしたらもう一度、CQMagOnlineをクリックして下さい。Current Issue (最新号)にゆき、Contents(目次)の中の4番目、Lynn Schoefflerさんの、Interpretive CQ:Bitten by the RR Bugという記事を、開けて見て下さい。その中に今日載せた写真の一枚があります。
昨年、私が初めて参加したRRはファンタジーがテーマでした。私に最後に回ってきたメアリー・ジェーンさんという人の、宇宙をテーマにしたブロックを見た瞬間、私はブロック全体を宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」でまとめたいと思ったのでした。普通ラウンドロビンはグループの人数分の一、つまり六人ならブロックの六分の一を目安に仕事をすることになっています。大体はシームステッチ2,3本、モチーフを1,2個というところですが、最後でしたから各ピースにまたがる仕事も許されるだろう思ったのです。星祭りの夜、夢の中で親友カンパネルラと銀河鉄道に乗って夜空を旅したジョバンニは、白鳥座をめぐり、サソリ座にまつわる物語を聞き、鳥を捕まえる男に会い、天のはしごを昇ってゆく人々を見、汽車を降りたカンパネルラと別れ、地上に帰ってきたとき(夢から覚めたとき)、彼の死を知るのです。賢治の物語は当然、海外ではそれほど知られていませんが、このラウンドロビンは好評でした。図書館に英訳があると知らせてくれた人もいましたから、これをきっかけに読んでみた人もいるかも知れません。
リンの記事は、このブロックにヒントに、好きな本をテーマにしたラウンドロビンのグループができ、それが進行中だという報告です。私の手元には今、そのリンのブロックがあります。それが終わったとき、この愛読書ラウンドロビンとリンについて、また回を改めて書こうと思います。
仙台の星祭りも終わりました。賢治のテーマはいつも、「みんなの真の幸い」への祈りでした。
If you access to the link of CQMgOnline and see the Lynn Schoeffler's article titled "Interpretive CQ:Bitten by the RR Bug" out of the current issue, you would find a photo I have uploaded today. It is my work on a Mary Jane's block from the CQI Fantasy RR of last year. I was the last person for the block. When I received it I immediately made up my mind to do my work based on "The Milkyway Railroad" by Kenji Miyazawa. You have an English translation by Joseph Sigrist & D.M.Stroud, published by Stone Bridge Press)
Teased by his friends and alone on a hilltop, a young boy is suddenly swept aboard a magical train bound for the Milky Way with his best friend. The train passes stations (stars and constellations) and they met passengers getting on and off. They were on the way to heaven. The train was a passage from this life to the next. But only he would be allowed to return to Earth, where he found his friend jorneyed together had drowned in river to save a small boy.
Kenji Miyazawa (1896-1933) was a poet and geologist. He lived among poor farmers in Tohoku, giving them advices about fertilizers. His literary works are very philosophical and at the same time religious. Most of all his works and life were prayers for people's happiness and peace.
Sunday, August 06, 2006
仙台七夕 Tanabata Festival in Sendai
仙台の七夕が始まりました。子供が小さなときは連れて見にゆきましたが、最近ではわざわざ人混みに出かける気にもなれず、街に用事があっても始まる前か終わってからにするか、避けてしまうのですが、今日はどうしても買い物があったので、頑張って出かけ、そそくさと用事を済ませ、知らない人には珍しいだろうと思い、一番町商店街の入り口にある三越の前で写真を二三枚撮りました。
東北の三大祭りの一つ、仙台の七夕をわざわざ見に、全国から百万もの人がやってくるのに、歩いて十五分のところに住んでいる人間がこんな具合です。きっと私は三大祭りのもう一つ、ねぶたの青森県出身なので、あの津軽のジョっパリ太鼓のお腹に響く音を聞くと血が騒ぐのですが、飾ってあるだけの七夕はちょっと物足りないのです。でも和紙の飾りはきれいでした。
Today is the first day of Sendai Tanabata festival, one of the three most famous summer festivals in Tohoku (north area of Japan). Nebuta in Aomori, Kanto in Akita and Tanabata in Sendai. Tanabata is a star festival based on an old tale from China: A beautiful court girl (Vega) who was a weaver fell in love with a cowboy(Altair). They became neglecting their job. God got angry and split them but allow them to meet once a year, only from the both sides of river (Galaxy). It is cereblated on July 7th usually but in Sendai one month later, following the luner calender.
Each shop on the main shopping streets makes a big bamboo decoration with balls and ribbons ornaments made of beautiful Japanese papers. You can see those bamboo decorations continuing 2km. And at some spot you may find another decoration with thousands of folded cranes people made with prayer for the peace. August 6th is also the day of Hiroshima.
But I was born and raised in Aomori prefecture where the most ecxiting and moving Nebuta festivals are held. You will see many huge lantern floats parade in the dark evening. Whenever I hear the sounds of Japanese drums and flutes sounds I feel my blood boiling. To me Sendai Tanabata seems to be too still. If you are interested in Nebuta, please accsess the sites I have put. If you can't understand Japanese, you would imagine something.
http://www.city.aomori.aomori.jp/kanko/nebuta/kaia01.html
http://www.hirosaki.co.jp/
Saturday, August 05, 2006
花一輪からの日本の刺繍 Cherry Flowers Patterns by Shizuka Kusano
リンク欄にクレージーキルターのメーリングリストがあります。このリストを順番に開いてはさまざまな作品に見とれていた時期、明らかに日本人と思われる名前にゆきあたりました。Emiko Sato。最初は日系の方、あるいは在米の方、と思ったのですが、ページを開くとバリバリの日本の人で、ロマンチックな素敵な作品が沢山のっていました。そうか、日本人でも海外のグループに参加できるんだ、と世界が広がった感じがしました。すぐにメールを送ると、お返事がきました。佐藤枝美子さん、今はビーズに魅せられて、ビーズアクセサリーの製作の方がお忙しそうですが、私は、勇敢にもたった一人で海外の方たちに互して素晴らしい作品を作られた彼女が、クレージーキルトのパイオニアだと思っています。またクレージーの作品も見せていただけるとうれしいです。
以前のホームページにはラウンドロビンのブロックの写真も載っていて、桜の刺繍を草乃しずかさんの「花一輪からの日本の刺繍」から図案を借りたことが書かれていました。またまたそうかと、私も本を買い、やっぱり桜から始めました。昨年、CQMagOnline の企画で、ソーイングケース(英語では hussif)とそれを持ち歩くためのバッグを作る企画があり、全員シルクとレースを飾ったヴィクトリアンの中で、一人だけ和風を作りました。刺繍の部分、おわかりでしょうか? やっぱり草乃しずかさんの「花一輪からの日本の刺繍」の桜です。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4140310863/249-3285725-7982764?v=glance&n=465392&s=books
If you access the link of the Crazyquilting Mailing List, you would find a Japanese lady's name "Emiko Sato". When I found her name and saw her HP, I sent an e-mail to her and received a kind reply. She had joined an oversea group and made several crazyquilts. Her works are very romantic and beautiful. She seems to be busy making jewelry with beads now. But I am really missing her crazyquilting works.
In former her HP, I read about she had used a cherry flower pattern from Shizuka Kusano's Japanese embroidery book for her RR. S. Kusano is a very famous and popular Japanese embroiderer. Then I bought the same book and used also some cherry flowers patterns for my hussuf which I made last year. Can you find them in the photos?
Thursday, August 03, 2006
アニーさんのブックカバー・レッスン Annie’s Bookcovers Lesson
シャロンさんのことは前に書きましたが、もう一人、私がずっと憧れていたオーストラリアのクレージーキルターにアニーさんという人がいます。二三年前、きっかけは忘れましたが、ホームページを探し当て、HPそのものの構成も、ギャラリーの作品も、すべてが美しく、毎日毎日繰り返しアクセスしては、「庭の小道」、「心の秘密の花園」「もう一つの世界」と題された作品や、黒と銀だけで作られたバッグなど、どの作品も記憶に焼きつく位、飽きずに眺めていたものです。ブログは昨年からだったと思いますが、最初から毎日、お友達の結婚式に着るドレスが出来上がってゆく様子なども、追いかけながら同時進行で見ていました。シャロンさんとは家も近く大の親友らしいのですが、クレージーキルト界のゴッドとゴッデスという感じです。(シャロンさんは何故か女神の呼び名はふさわしくないような感じがします。私個人の印象ですが)アニーさんの作品は、シームのステッチやモチーフの刺繍、ビーズやボタンのあしらいなど、コンビネーションはシンプルで、それほど凝った意匠は感じられません。しかしステッチは真似できそうでも、誰も及ばないと思うのは、絶妙な色彩感と完璧な刺繍技術に裏づけされた、エスプリと呼ぶしかないような、はっとするようなアイデアです。さりげなく無駄のない、でも計算されたステッチの間にある余白に想像力をかき立てられ、いつも作品に物語を感じます。
そのアニーさんと昨年12月、CQIの企画でしたが、クリスマスクラッカーのスワップをしました。それだけで私は天にも昇る心地だったのですが、今年二月には、やはりCQIのオンラインクラスでブックカバーの講習を受けました。先生に誉められたい一心で、私は真面目な生徒を演じ、一枚布で作るカバー、縁取りをしたカバー、とせっせと製作に励みました。私は個人的にもブックカバー作りは大好きで既にたくさん作ったものがあり、ブックカバーなら任せて、みたいな感じでいたのですが。でもやはり勉強になりました。彼女は私みたいにいい加減な目分量とぶっつけ本番で作ることはせず、ちゃんとサイズを測って製図していました。
水色と紺色のはアニーさんのクラスで作った縁取りタイプ、グリーンのクレージーは私が二年前、自分の翻訳書に合わせて、作った二つのカバーの表と裏です。何を隠そう、私は翻訳もしているのです。
「カサンドラの城」(朔北社)という本、読んでみて下さったらうれしいです。百一匹ワンちゃんの原作者の青春ものです。楽しい本だと思うのですが、売れ行きは今一つというところ。現在次の本を訳しています。
Annie Whitsed has been one of my most admiring crazy quilters. I don't remember how I found her HP, two or three years ago. Maybe I happened to do while wandering in crazy quilters sites one by one. I was never tired with watching her works in the garelley for hours; then "A Secret Garden in my Heart", "Another World", a black and sliver bag, and etc. impressed themselves on my memory. When she started the blog, I became a very eager visiter from the first time. I was keeping my eyes on her dress for her friend's wedding being embellished everyday. Her stitches are not complicated but there is her natural esprit. Her works are so imaginative I feel always some stories there.
I was so excited when I did Christmas cracker exchange with her last December and had her class of making bookcovers from CQI in this February. I acted a very good student for my teacher. And it was a very useful lesson. I learned the importance of measurement. To tell the truth I had never measured when making covers for my use; just put fabric on the book and cut. Two green covers I made are for my Japanese translation of Dodie Smith's "I Capture the Castle" published three years ago.
Labels:
Book cover,
Crazy Quilters,
Flora Thompson 翻訳
Subscribe to:
Posts (Atom)