Monday, November 30, 2009

『聖なる春』 Another Klimt Block

片づけをしているといろんなものが出て来てつい寄り道をすることになります。こんなブロックが出てきました。前にクリムトの絵を使った作品を作りましたがこの絵もクリムトで、そのとき一緒に作ってあったものです。数年前、久世光彦の本をまとめ読みしたことがあるのですが、そのときの一冊『聖なる春』という小説のカバーに使われていて、とても惹かれていました。この絵の写実的な技法がよく知られたクリムトと違っているので意外でしたが、金地に描かれたピンクのバラが牡丹ならまるで日本画と思うほど日本の影響は明らかですし、ロマンチックな情景の上に気味の悪いさまざまな顔が暗がりに浮かんでいたりするモチーフは、やっぱり後のクリムトを彷彿とさせます。

I decided to finish one of my UFOs when I found this naked block while clearing up my drawer. I made two naked blocks using Klimt's paintings and finished only one then. This another work of his was used as a cover of novel titled "Holy Spring", which I read a few years ago. I loved the painting so much I made a print and pieced a block. I worked for two evenings.




そういうわけでお花いっぱいの春らしい仕上げになった次第です。







さてこの小説ですが主人公は顔に醜い痣を持った男で、焼け残った蔵でクリムトの贋作を描くことを仕事にしています。彼と関わる画商、キキという若い画学生の登場人物たちが、それぞれに心に深い傷を抱えながら自分の『春』を待っているという筋書きだったと思いますが、詳しい内容はすっかり忘れました。最初の書き出しの文章が素晴らしかったとか、昭和のレトロな雰囲気の東京の本郷、御茶ノ水の界隈の描写が懐かしかったとか、情けないことに印象しか残っていません。もう一度読み直してみようと思います。

3 comments:

Ati said...

Lovely Hideko. I particulair like the vertical flower spray on the right top of the picture.

coral-seas said...

Beautiful, Hideko. True to the book but with your own special style thrown in.

ayako said...

ご無沙汰しています。ごめんなさい。
もう師走ですか。ついこの間お正月だったでしょう、、、と文句を言いたくなります。

「聖なる春」のブロック、春なのに暗くて、なんだか怖くて、クリムトの世界がしっかり伝わってます。刺しゅうがとても奇麗。

久世光彦さんの本は亡くなる前に私も何冊か読みましたが(小説ではなくてエッセー集ばかりだったようで)みんな図書館で借りたものだったから手元にはなくて、内容どころか読んだことすら忘れているボケ状態です。

ボケと言えば、息子さんの写真展に出かけるつもりでカレンダーに書き込んでいたのにミスってしまった。ショックでした。

キルトも読書も人一倍、いや人数倍こなしているのを驚きのボケ状態で感心しています!